DCDC説明   ←エレキtopへ
DCDCコンバータの説明です。(文責 吉井)


DCDCコンバータとは、直流の電圧を変える装置のことです。
ただ、電圧を低くするだけだったら、抵抗を直列に入れて実現することが出来ます(そういう電源装置もあります)。
しかし、そうしてしまうと、電圧を下げたぶん、抵抗が熱として電力を消費してしまうことになります。
簡単に計算してみるとVaを入力する電圧Vbを取り出す電圧、Rを抵抗値とすると流れる電流Iは(Va-Vb)/Rなので、結局(Va-Vb)^2/Rの電力が、熱になって無駄になることになります。

そこで、DCDCコンバータでは、スイッチング式という方法をとっています。
このスイッチング式には様々な方法があり、全部あげるときりがありませんが、Meisterで今まで作ってきたのは、バックコンバータ、ブーストコンバータ、フォワードコンバータです。
名前の通り、この方法ではスイッチ(実際は半導体部品を使います)を高速で入れたり切ったりして電圧を変えます。
入れるか入れないかだけなので、抵抗のロスは原理上無し!

バックコンバータを例に見てみましょう。
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↑MOSFETと書いてあるのがスイッチの働きをする半導体部品です。別項「MOSFETについてをご覧ください」

電圧Vを入力します。スイッチをta秒オンしてtb秒オフするということを繰り返すと、オンしている期間はVが出力され、オフしている期間は当然0Vが出力されます。
そこで、平均値を取ってみると{ta/(ta+tb)}Vの電圧がでているかのように見えるという寸法です。
なんだか狐につままれたような話です。
しかも、このままだと、ガタガタの細切れの、いかにも汚い出力になってしまいそうです。
そこで、ちょっと仕掛けをします。それが、コイルと、コンデンサと、ダイオードです。

ちょっと物理の授業を思い出してみてください。
コイルは電圧を掛けても、急には電流を流すことが出来ず、また、電圧を0にしても、急には電流が無くならないという性質があります。
これをふまえて考えてみましょう。
まず、スイッチがオンになると、電圧がコイルにかかります。コイルは、徐々に電流を流していきます。
コンデンサーに電気がたまって電圧が上がります。CV=Q=Itってやつですね。
次にスイッチをオフします。コイルは、まだ電流を流そうとします。しかし、スイッチは切れている…。そこで、ダイオードの出番です。
ダイオードは一方にだけ電流を流せるので図1の上から下には電流を流せませんが、コイルはスイッチに電源からの道をたたれてしまっているので、ダイオードの下から上へ電流を流そうとします。
この方向なら電流が流せます。
このように、何食わぬ顔で電流は流れ続け、コンデンサーを充電してくれます。
負荷(電気の利用先)には、コンデンサーが常に一定の電圧を供給してくれているように見えるのです。
ちょっとわかりにくいですが、コイルとコンデンサーが凸凹をならしてくれるって感じですね。

※この説明は、私が勝手に納得するためにかなりおおざっぱな考え方をしました。
厳密にはたぶん違ってると思うのでお許しを。
興味のある方は、図書館や本屋などで「スイッチング電源」関連の本を読むと詳しくでています。

ほかのブーストコンバータ、フォワードコンバータも、基本的には同じなので簡単に流します(爆)。


ブーストコンバータ
バックコンバータは電圧を下げていましたが、なんとこれは上げることが出来ます。
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↑図1と比べると部品の位置が入れ替わっているだけで似ています。

スイッチとコイルと、ダイオードの一が入れ替わってますね。簡単に仕組みを見てみます。
スイッチがオンすると…プラスとマイナスがショートしています!!
でも、ご安心を。コイルが入っているので、急に電流は流れません。
今度はスイッチをオフします。コイルは電流を流そうとして、ダイオードを通して、コンデンサーを充電します。
このとき、このコイルは、電源の電圧に、さらに上乗せしているかのように働きます。なので、しばらく動作させていると、コンデンサの電圧は電源より高くなります。
…やっぱり狐につままれた気がしますね(私も未だにだまされたような気分です)。
ところで、スイッチオンしている間は電源と負荷が離れてますが、コンデンサーが電源代わりになってくれます。
また、ダイオードがあるので、スイッチの方にせっかく貯めた電気が流れることもありません。


フォワードコンバータ
仕組み自体はバックコンバータと非常に似た分類になるそうです。
では何が違うのか?見た目も結構違う気がしますが…一番大きな違いがトランスです。
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↑これまでのものとはだいぶ違って見えます。トランスも入ってきて、なにやら複雑。トランスの右っかわは図1にちょっと似ています。

何が良いのか??それは、絶縁されていると言うことです。
だから、電源側と出力側のGND(電圧の基準点です)が違っていても、ショートしないスグレモノです。
仕組みは、バックコンバータの、電源とスイッチの部分をトランスから左っかわに置き換えると同じようにも見えまね。


制作したコンバータたち
■バックコンバータ
初めて私が作ったコンバータ。NATSにて、定電流走行法というものを実現するために作りました。
ちょっと変形して、電流を一定にするようにしてありました。
テスト中に煙が出て、あえなく昇天(T_T)、現在は修理途中でほったらかしです。写真も無しですm(_ _)m

■ブーストコンバータ
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↑前主任作。このときはまだド素人で、DCDCなんて、雲の上の世界でした。今は…雲の中ぐらいでしょうか?
前主任が作りました。秋田のWEMで使用。専用ICを使っていて効率は90%ぐらい出るようです。

■フォワードコンバータ
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DDプロジェクトの鍵になる部品の一つとなるか?私が作ったDCDCの中では一番安定しています。
出来たてほやほや、私の第二号機です。結構お気に入り。
DDモータのコントローラ回路に使う予定です(使わないことになりましたとさ)。また燃えないことを祈るばかり…。

ついでに波形もどうぞ。
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↑電圧が三段階に変化しています。電圧の変化は一般的に一瞬の方が良いので、ちょっとまだまだの感が。

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