今年のロガーも進化します
12/03/14 19:26
yukimachi


こんにちは。yukimachiです。

12月の頭にGPSの記事を書きましたが、今はロガーづくりに徹しています。


今年は電装が強い代ということもあって、ロガーも電装機器に耐えられるように大容量化が求められています。というわけで、GPSと同じSTM32F103VET6マイコンを搭載しているSTBeeベースに作ることにしました。同じプラットフォームだと開発しやすいしね!

一時は、昨年末から秋月で扱いだしたSTM32F4-Discoveryをロガーにしようという話もありました。STBeeより安いのに、CPU速度は168MHzとかいうマイコンの世界では信じられないほど高速。浮動小数点の演算命令を持ち合わせていたり、ボード上に加速度センサーが付いていたり、もうとにかくいろいろとすごすぎるボードです。
ですが、SDカードと通信するためのSDIOピンがボード上の他のデバイスと競合していたり、ライブラリの充実度が十分でなかったため諦めることにしました。

現在のロガーの状態が下の写真のようになっています。

Logger
左下にある、STBeeと接続されたボードがロガー本体になります。STBeeを搭載し、他のデバイスとの通信端子を出しているくらいのものです。
真ん中に見える黒い筒状のものが付いたものが高度計です。電装主任が作ってくれました。そして、右側に映っているのが表示器です。表示器は試作段階で、ユニバーサル基板上に作っています。本番はもっと表示部分は大きくコンパクトでスタイリッシュ(?)になる予定です。この「2.2」の表示は高度計の値です。机から天井までの距離が2.2mということで、割と正確に値が出るようです。

ロガーと計器の通信は、基本的にI2Cで行います。表示器もI2Cバスに乗っています。去年はUARTをちょっと独自に拡張した通信プロトコルでスター型のネットワークを組んでいましたが、STM32には従来のロガーに使われていたPIC24Fほど柔軟にピンを割り当てる機能は無いので、代替する通信方法が求められていました。CAN、RS485など多くの方法が提案されましたが、外付けのドライバICが無くても直接PICとかから制御でき、さらにソフトウェアの暴走が起きてもハードウェアに問題を起こしにくいI2Cにしようという結論に至りました。
しかし、I2Cはもともと近距離通信のためのもので、HIレベルにする時にプルアップ抵抗を通しているため、長い通信線などで線間容量が大きくなると通信線の信号が鈍ります。
i2c_clk.jpg
これが通信線を覗いてみた時の鈍り具合です。長距離になるため、この鈍りによって信号がダメになってしまわない程度まで速度を落として通信しています。現状19.2kbpsで問題が無いことは確認していますが、もしかしたら今後また変更をするかもしれません。

しかし、この程度の低速通信では若干困るデバイスが存在します。ピッチ角計です。
昨年のピッチ角計は、ロガーとの通信容量が十分でなかったためデータを間引いていましたが、やはりそれでは使い物にならないデータしか取れなかったようです。
そのため、ピッチ角計は特別扱いでRS485を利用して115.2kbpsを出して通信しています。

また、GPSモジュールはRS232で信号を出してくるため、わざわざI2Cへ変換するPIC等を挟むのは効率が悪いということでGPSもUARTで接続しています。GPS表示器へ行く線とロガーへ行く線へ分岐される予定です。

UARTは垂れ流されてくるデータをそのままSDカードへ書き込むだけですが、I2Cではロガーがデータの送信要求をしていかなければなりません。そして、その送信要求はできる限り高い周波数で送るようにしています。今までのロガーは1秒弱間隔で計測していましたが、昨年京大で話題になった脈動なども見れることを目標としての変更です。

また、ログにはミリ秒単位で正確な時刻情報が付いてきます。去年は電源投入後からの経過時間を内蔵RCクロックがクロック源のタイマーで計測していましたが、今年はSTM32のRTC(Real Time Clock)とGPSの時刻情報を使って時刻を取っています。


このように、今までのマイスターのロガーとは全く違って、1から全て作り直したと言っても過言ではないような高性能なロガーとなっています(実際プラットフォームが違うから1から作り直しているんですがw)。
輪郭は出来上がってきましたが、まだ細かな部分のコーディングが終わっていないので、これからもロガーづくりに励んでいきます。

長文失礼しました。ここまで読んでくださってありがとうございます。

[*]前へ / [0]トップ / [#]次へ
 この記事へのコメント
新浜京都(前エレキ主任): 03/18 15:00

「今年は電操が強い代」(もしや、上の代と比較してる!?)と言い張ったからには、期待してるぞ!

装置は、機能が良いことが重要であることに加えて、実装などの、信頼性を担保する機械的な部分も大変重要なのです!!

>今までのマイスターのロガーとは全く違って、1から全て作り直したと言っても過言ではないような高性能なロガーとなっています。

おおっ!こりゃぁngysさんも顔負けかっ!?

システムを改良したり工夫を施すことは大変良いことです。是非進めてください!!
ただし、どんだけ複雑・高度なことをやっても求められる信頼性は今までと同じである点にも注意してくださいね!!
さもないと中国の新幹線と同じようなことに・・・(ry




(C) Meister.