いままで表に出てこなかった2011の翼設計の大網です。
鳥コンも終わり、そろそろ活動報告か、と思い出てきた次第です。
このレポートも、いままで自分のアカウントを作っていなかったので、TOYOさんのアカウントから投稿してもらっています。
こっちが主翼で
こっちが尾翼です。
これらの翼を形作る青い部品を1年かけて作ってきました。
翼設計の仕事は、全体設計が要求する翼形状を可能な限り軽量に実現することです。
大まかな構想から解析の真似事をやり、リブの形状、肉抜きの程度などを決めます。
翼を軽くするうえで考えなければならないのが、強度と剛性です。
こわれないように、そして変形しすぎないように。翼型がくずれると翼の性能が低下してしまうからです。
下の図は安全率を見ている時のものです。青い部分が多いうちは、まだ削る余地ありということです。こんな感じの解析の真似事をいろいろとやりました。
今年は、といっても設計をしたのはほとんど去年のことなのですが、割と思い切った構成にしてみました。
前任者さんが特に口出しもしてこなかったので、自由にやることができたのです。
翼を軽くするには、リブの間隔を広げて枚数を減らしたり、肉抜きを増やしたり、あるいはリブを薄くする、などの方法がありますが、どれも強度と剛性とのトレードオフです。しかし、その構成をいくらか工夫することによって、同じ重さでも構造的に強度を上げることができます。
結局のところ、毎年機体重量や翼面積は異なるのであまりいい比較ではありませんが、今年の翼は軽かった、といっていいものになったと思います。
もっとも、設計的な工夫を盛り込めるようになったのは、製作面での進展があったからです。
マイスターの翼班では、スタイロフォームという発泡材を電熱線で切り出してリブをつくっており、その際にマスターとよばれる型紙を使っています。
このマスターは、翼にテーパーがかかっている都合でおよそ150枚ほど必要となります。そのマスター一つを印刷するためにいくつかの変数を入力する必要があるわけですが、いままではそれを手作業で行っていました。
今年はTOYOさんが細かい指定ができるようにプログラムを拡張し、それとTOYOの中の人が書いたクリック2回で変数をすべて入力できるプログラムと合わせて、変数が40ほどの、従来より細かい設計をすることが可能となりました。(その変数というのが3,4ケタで、まあ手作業での入力は無理です。)
また、今年の翼は新たに工作上の工夫も盛り込んでいます。それは製作精度を上げたり、飛行時の桁のたわみに翼がうまくついていけるようにするための工夫です。
見た目にあまり表れてこない工夫も盛り込んだ、翼班の努力の結晶の翼なわけで。
機体がプラットホームから飛び出していったときは、うれしくもあり、さみしくもありました。
もうあの翼ともおさらばか、と思っていたのですが、なんと機体のBL翼(主翼の一部)は着水後にほぼ無傷で帰ってきました。他の翼もなかなかいい状態で戻ってきました。Iwataniさんの機体回収が上手なのか、あるいは翼が頑丈だったのか。
長くなってしまいました。自分はこれでおさらばです。あとは下の代に任せるとします。引き継ぎの資料はもう渡してあるので、あとは彼らが頑張ってくれるでしょう。
最後に今年のリブがどんなものだったかを載せておきます。上から7つが主翼、8番目が水平尾翼、9番目が垂直尾翼の一部を、それぞれ抜き出してきたものです。
マイスターで活動できてよかった。
では