2012年9月の記事です。
≪2012年3月 2012年11月≫
書いた人: jamy | 12/09/08 15:04
はじめまして,2012年度のコックピット主任・フレーム主任設計です.ブログを書く書くと周囲に言ってるうちに引退してしまいました.だからといって自分の代のフレームについてなにも書かずに終わってしまうのもなんか悲しいということでまとめ記事のようなものを残しておきます.ちなみにフレームとしての記事は2年1ヶ月ぶりになるみたいですね,ごめんなさい.2012年度のフレーム製作と設計における変更点をまとめていこうと思います.1. 製作支援ソフトの改良フレーム製作の工程の一つに桁(カーボンパイプ)と桁をつなぎ合わせる相貫という作業があります.ここで桁をもう一つの桁にあわせてやするときに相貫線の引かれた紙を桁に巻いてやすります.この相貫線を出力するソフトが昔からMeisterにはあったのですが,なぜか入力値が桁の半径であったりと微妙に使いにくいものでした.今年はそれを改善し,さらに機能も追加して一から作り直しました.小さな改良ではありますが,確実に効率は良くなったと思います.2.斜め桁の排除今年はパイロットの両腕が下に降りたこともあり,斜め桁(通称レナ)の存在が絶対に必要なものではなくなりました.そこで今年はレナを廃止しています.重量減少と万が一のクラッシュ時のパイロットの安全がメリットとなると考えてこの変更を行いました.予想されたフレームの剛性の低下はありましたが,フライトに支障がなかったので問題なしと判断しています.3.パイロットにフィットした椅子の製作これまでMeisterではロハセルサンドイッチCFRP平板の上にクッションを置いて椅子としていました.しかしこれではパイロットのパフォーマンスを引き出すことができないと考えられました.そこでパイロットの型を石膏で取り,それを用いて立体的な形状の椅子を製作しました.また,パイロット姿勢的にハンドルを椅子付近に設置する必要があったため,ハンドルは椅子と一体化する形になりました.この椅子は発泡ウレタンで作られたコアのまわりをカーボンが覆う構造をしています.フレーム完成上記のものに加えて細かい設計改良を行った結果として,パイロットのパフォーマンスを最大限に引き出すことができ,かつ去年のフレームより約400g 軽い総重量4.5kg のフレーム(車輪込み)を作りあげることができました.今年はフライト一週間前に桁にクラックが発生しその補修に追われるというトラブルがありました.だからあの結果になったなどと安易に繋げるつもりはありませんが今でも心残りになっています.この経験が糧となって来年以降Meisterがさらに強いチームになってくれることを願います.それではこれで.来年のフレームはたくさん記事を書いてくれるはずです.(俺でも書いたんだからみんな記事書くんだよね??)
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はじめまして,2012年度のコックピット主任・フレーム主任設計です.
ブログを書く書くと周囲に言ってるうちに引退してしまいました.
だからといって自分の代のフレームについてなにも書かずに終わってしまうのもなんか悲しいということでまとめ記事のようなものを残しておきます.ちなみにフレームとしての記事は2年1ヶ月ぶりになるみたいですね,ごめんなさい.
2012年度のフレーム製作と設計における変更点をまとめていこうと思います.
1. 製作支援ソフトの改良
フレーム製作の工程の一つに桁(カーボンパイプ)と桁をつなぎ合わせる相貫という作業があります.
ここで桁をもう一つの桁にあわせてやするときに相貫線の引かれた紙を桁に巻いてやすります.この相貫線を出力するソフトが昔からMeisterにはあったのですが,なぜか入力値が桁の半径であったりと微妙に使いにくいものでした.今年はそれを改善し,さらに機能も追加して一から作り直しました.
小さな改良ではありますが,確実に効率は良くなったと思います.
2.斜め桁の排除
今年はパイロットの両腕が下に降りたこともあり,斜め桁(通称レナ)の存在が絶対に必要なものではなくなりました.そこで今年はレナを廃止しています.重量減少と万が一のクラッシュ時のパイロットの安全がメリットとなると考えてこの変更を行いました.
予想されたフレームの剛性の低下はありましたが,フライトに支障がなかったので問題なしと判断しています.
3.パイロットにフィットした椅子の製作
これまでMeisterではロハセルサンドイッチCFRP平板の上にクッションを置いて椅子としていました.しかしこれではパイロットのパフォーマンスを引き出すことができないと考えられました.
そこでパイロットの型を石膏で取り,それを用いて立体的な形状の椅子を製作しました.また,パイロット姿勢的にハンドルを椅子付近に設置する必要があったため,ハンドルは椅子と一体化する形になりました.
この椅子は発泡ウレタンで作られたコアのまわりをカーボンが覆う構造をしています.
フレーム完成
上記のものに加えて細かい設計改良を行った結果として,パイロットのパフォーマンスを最大限に引き出すことができ,かつ去年のフレームより約400g 軽い総重量4.5kg のフレーム(車輪込み)を作りあげることができました.
今年はフライト一週間前に桁にクラックが発生しその補修に追われるというトラブルがありました.だからあの結果になったなどと安易に繋げるつもりはありませんが今でも心残りになっています.この経験が糧となって来年以降Meisterがさらに強いチームになってくれることを願います.
それではこれで.来年のフレームはたくさん記事を書いてくれるはずです.
(俺でも書いたんだからみんな記事書くんだよね??)