speが2013年2月20日に書いた記事です。

双方向昇降圧型DC-DC

書いた人: spe | 13/02/20 02:24 | コメント(0)

こんにちは,長かった期末試験を消化することにようやく成功し(二度寝という悪魔に背中を刺されそうにはなりましたが)なんとか必要単位を回収できた(と思われる)speです.
代替わりからはや3ヶ月弱が過ぎ,その間に私は先代エレキ主任が残したノウハウ(この記事の双方向DC-DCの部分参照)を元に,それを発展させて昇降圧を自由に行うことができるようにした双方向昇降圧型DC-DCコンバーターの設計と製作を行なっていました.
主回路は下のようになります.
主回路.png
この回路はインダクタを中心としたHブリッジになっており,電流測定用のシャント抵抗であるRを除けば,完全に左右対称になっています.
左右対称の形になったことで,4つのFETに加えるPWMのデューティー比を制御することにより,AかBの片方に印加された電圧から,もう片方に0~∞(と言っても回路の制御回路やコンデンサの耐電圧の関係で現実には100V以内)の自由な電圧を出力することが可能になりました.Q1とQ2,またQ3とQ4のゲートにはそれぞれ常に相補PWMのパルスを印加することで無負荷時でも安定した電圧の制御ができ,また電流が左右どちらにも流れることができるようになっています.
回路の実装は下の写真のようになっています.
箱外観.jpg
装置外観
箱中身上.jpg
中身
C1,C2のコンデンサには4700uF50Vを2直したもの(直列で電圧を印加した際,電圧のばらつきが少ない個体を選定した)を用い,LのインダクタにはTDKが販売しているスイッチング電源用フェライトコアに銅線を巻きつけた自作のコイル(インダクタンスは50uH程度)を使っています.

今回製作したこのDC-DCコンバーターのコンセプト(目標)は,
「車載用として以外ではどんな時でも使える汎用性の高さ」
にあります.今のMeisterエレキ班が使用可能な直流電源には,20V/36Aまで出力可能な安定化電源がありますが,エコノムーブで主に用いる電圧は24V及び48Vであるためこのままででは電圧が足りません.また,私の2つ上の代の先輩が制作したDC-DCコンバーターは,同期整流を行いながらも電流不連続モード時でも電流が逆流しないという高度な制御を行なっているものですが,それ故に一旦壊れてしまうと直すのが難しく,またこれは入力電流制御であり,出力電圧の制御はできないものになっています.
そこで,車載以外のあらゆる場面で使用可能で,しかも外付けのテスターがなくてもおおよその電圧・電流値をLCDディスプレイにより目視でき,また壊れても修理が容易いように単純な回路とロジックを採用し,電流制御・電圧制御両方が可能な汎用DC-DCを作ろうと思いいたった訳です.さらに実は,この回路には通信用のUSARTポートを設けており,その気になればPCで入出力電圧や電流を制御・記録することもハードウェア的には可能になっています(それらのソフトウェアの実装はまだやっていませんが).
使用用途を「車載以外」としたのは,私自身が昇圧回路を作るのが初めてであったため設計の練習をしたかったのと,LCDディスプレイ等「車載する」という観点においては不要なものを組み込むことを最初から決めていたためです.
効率の詳しい測定はまだしていませんが,極端な入出力電圧差がある場合や微小電流・大電流(20A以上)を扱うのでなければ効率は大体92%以上は出ていると思われます.少なくとも,20V→30V昇圧で入力電流8Aの時には効率97%という数字が出ています.効率の詳しい測定は春休みを利用してしっかりと行いたいと思います.
さて,この汎用的に使える回路を作ったことで,DC-DCを使った様々な大会を想定した車載回路の構成をモーターベンチによって試すことができるようになりました.さまざまな回路構成をシミュレーションをして最も効率がいいと思われる構成を探し当て,それから今度は車載用にこのDC-DCコンバータの機能を削ったものを作っていくつもりです.
WEM第2戦,私たちの新車体の初陣となる秋田大会は5月初め,ゴールデンウィークに行われます.秋田大会に向け,綿密なシミュレーションと準備を行なっていこうと思います.


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