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WEM GP2003参戦レポートです。
2003年度は秋田・筑波で2大会に参加しました。(文責 飯塚)
秋田大会(2003.5.3-4)
Meisterエコノムーブ部門が始めて出場した大会。
■会場の紹介
会場である秋田県ソーラースポーツラインは、日本の電気エコカー競技の原点である。
その昔、秋田県大潟村に滑走路を作りスペースシャトルを着陸させようという大胆な計画(村興し的な)が持ち上がり、その下準備として、
将来日本の宇宙産業を担っていくであろう理工系大学の学生の興味を引くことで場所の知名度を向上させることを目的にこの滑走路予定地でソーラーカーのレースを行うことになった。
勿論、Meisterがソーラーカーに挑戦していた頃はここでの大会に参加していた。
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もともと滑走路にしようと考えていたことと、施工する土地が田畑であることから、このコースは平坦な直線が基本となっています。
ソーラーカーレースの為に建設されため、1周31kmにも及ぶ長距離で、全長が18kmとなります。
エコノムーブの大会においては、レギュレーションで定められるバッテリーの電力量が小さい為に、競技時間内で走ることの出来る距離が今のところ長くても80kmほどであるため、1周6kmに縮めて競技が行われます。
下に示す図がそのコースになります。

■コースが直線であるために、車体性能がもろに出ること
上の図に示すように、このコースは直線が基本となっているために、その車体の基本的な走行性能が問われます。
直進とは、ステアリングを使用しないため、運転自体は特に何もすることはなく(実際は少し奥が深いのですが、ここでは省略)、使用される電力は、その車の剛性、空力性能、電気系の消費電力に依存します。
車体の剛性が足りていなければ、走行中の外乱によって車体が歪み、そこでエネルギーが消費されますし、空力性能が悪ければ余計にモーターに電力を送る必要がありますし、電気系の消費電力が大きければ当然で必要な電力は大きくなります。
よって、ここの大会を制するものは、エコノムーブを制すると言われています。
■直線を折り返すため、片方の折り返しがつらいこと
これも上に示す図を見ていただければわかるのですが、一方の折り返し地点でコーナリングがとてもきつくなっています。
これはコースの途中に無理やり折り返しを作ったためです。
自動車工学によると、車体の直進性を向上させるためには、ホイールベースを長くすることが有効で、更に空力性能を向上させるために、前面投影面積を小さくさせるためにトレッドを小さくすることが有効となります。
しかし、この手段は同時に車体の旋回性能を低下させます。
ホイールベースを長くすると、旋回の為に陀角を大きくする必要があり、またトレッドを小さくすると旋回速度を下げる必要があるからです。
このように、このコースは直進性だけを追求するだけでは不十分なコースなのです。
■この折り返しの為に去年苦しんだこと
私たちが昨年製作したSleipnirは秋田大会の時点ではタイヤとカウルの干渉から、旋回半径を小さく出来ず、また視界性能が著しく悪かったために、この折り返しをまともにクリアーできませんでした。
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■エネルギーマネジメントが難しいこと
使用できる電力が144whと言うとても小さいものであるため(純粋にエネルギー的に考えると、ガソリンでは約4ccに相当)、力任せに走ることをするとすぐに電池切れになってしまいます。
バッテリーの特徴として、短時間に電力を引き出そうとすると取り出せる電力が小さくなると言うことがあります。
よって、バッテリーは2時間で使い切るようにした方がより多くの電力を引き出せることになります。
このことに気をつけてギヤやチェーンの減速比を選ぶ必要があります。
私たちは、テストランが不十分であために車体の性能を十分に把握していなかったために、これが出来ませんでした。
■お米がおいしいこと
米どころですから。。。
■成績
78台中43位。
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筑波大会(2003.8.16)
2003Meisterエコノムーブ部門がメインレースとして考えていた最も結果を求めた大会。
■会場の紹介
茨城県筑波市にある筑波サーキットでの大会。
サーキットなだけに、路面はとてもよく、走りやすいが、4%近い勾配があったり、長い下り坂の後すぐに急なヘアピンがあったりとテクニカルなコース。
東京から最も近い会場だっ。
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■秋田での経験から
秋田大会で身をもって学んだことは車体をより軽いものにしなければいけないと言うこと、視界性能を向上させなければいけないこと、減速比を適正に選ばなければいけないこと、
電気系をよりシンプルに整理することなどであった。
5月から8月にかけて、このような課題に取り込みながら、テストランもあわせて重ねて行き、筑波大会に臨んだ。
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■当日は雨
大会当日はあいにくの雨で、雨対策を十分にしていなかったために対応に困った。
それは他の多くのチームにもいえた事であった。
秋田大会の経験から、視界性能を大幅に改善して望んだレースだったが、雨やその気温の為にスクリーンは曇り、結局視界性能はゼロに近いものであった。
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■レース内容
多くのチームが雨にたじろぎ無難な走行を続ける中、私たちは当初の予定通りの(荒れている場合の)ペースでの走行を続けました。
その結果、一週目は1位通過、その後も首位を守るが、他チームとの接触があり、一次コースアウトするが、持ち直しレースを続ける。
しかし、またも接触を起こしてしまい、やむなくレースをリタイヤしたのであった。
結果は途中リタイヤと言うものではあったが、走行データなどから考えると、接触なく走り続けられていたならば少なくとも上位には入れたことがわかった。
秋田の結果から考えれば、目覚しい成長であった。
ここでの悔しさや、様々な思いが、2004EMPの活動の原点になっている(と思う)。
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