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幸田大会レポート

幸田大会報告 ドライバー編

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2004年11月19日 WEM 幸田エコノムーブチャレンジカップ レースレポート

羽賀 久雄

予選 11月13日 (土) 決勝11月14日(日)

2004シーズンのWEM最終戦となる「幸田エコノムーブチャレンジカップ」が、幸田サーキット桐山を舞台に開催された。

サーキット
サーキット概観

サーキット一周は1085m。
スタート直後の1〜3コーナーは下りの高速コーナーで中盤の連続ヘアピンのインフィールド区間、後半の上りバックストレートと最終シケインと、息をつく暇もない。
普段は左回りだが、今回は右回りのチャレンジングでテクニカルなコースだ。

出場チームは30チームを超え、応援、実況と、雰囲気は十分だ。

今回トップチームと呼ばれるところも何チームが参加している。
先日終わったばかりの白浜で好成績を残した名城大学は参加していなかったが、それ以外にも強敵がごろごろしている。

対するMeisterは、熟成の進んだLucciolaで参加。
マシン自体は良くなってきているものの、データという点ではまだまだだ。

緊張顔のドライバー
レース前緊張顔のドライバー

さて、レース前にコース攻略を練るわけだが、基本はブレーキとエネルギーをできるだけ使わずに速く走ることだ。
コントロールラインからインフィールド区間はオフ、バックストレートから最終シケインは全開、を基に、走りながらアレンジすることにした。

さて、1日目は予選だ。
予選は一周のタイムアタック。
1時間半の間に、ベストタイムを出せばいい。
我々は最初に出て行ってコースがクリアなうちにタイムを出し、その後は決勝のためにデータをとることにした。
この走り方からも分かるようにセッティングは決勝と同じだ。

最終シケイン
最終シケイン

今回、マシンにはブースト機構が付いていて、少しだけ電圧を上げて走ることができる。
もちろん予選はタイムアタックなのでONだ。
初めの一周はコースの確認とタイヤを暖めるのに使う。
そして最終シケインを立ち上がり、ブーストON!タイムアタックに入る。
普段はオフにしているインフィールドでもアクセルを開けて攻める。
2周のタイムアタックを終え、ブーストを切り、データ収集に入る。
何周かしたところで連絡がはいる。もう一度タイムアタックの指示。
もう一度ブーストをいれ、タイムアタック。コンマ5秒のタイムアップだ。

その後、何周か走ったあとの高速コーナーの3コーナー。
いきなりハンドルがきかなくなった。ハンドルの部品が外れたのだ。
目の前にはタイヤバリア。焦る。向きを変えることができない。
どうする
ブレーキは生きてる
そしてブレーキをかけ、スピンと共にマシンは止まる。
その日はそれで走行を終えた。
結果は13位。
決勝と同じ仕様なのでこれがいいのか悪いのかはまだ判断できない。
トラブルのほうはチームメイトが決勝までには直してくれるという。
その夜は安心して眠ることにした。

スタート直後
スタート直後

決勝は10時半にスタート。心配していた雨も無いようだ。
今までの経験からスタートではエネルギーを使わないようにそろそろとスタートするのがいい。
その様子に周りからはトラブルがあるように見えたようだ。
しかしスタートを慎重にしたことによって混雑の中を接触もなしに抜けることができた。
走り出してすぐに表示を確認。
前回もそうだったが今回もスピードメーターが動いていない。
そんなことよりも電圧の表示が…高い。

何周走っても設定値よりも2ボルトほど高い。
このままだとまたバッテリーが余るんじゃないのか。そんな考えが浮かんできた。
電圧を見ながら一周ごとに走りの微調整とバックマーカーの処理をしていく。

…なぜか今回は抜かれる場面が少ない。
正直バックミラー越しに後ろは見えにくいのでこれはうれしい誤算だ。
いつもは周回を重ねるごとに抜かれていくのに。
まさかペースが早いんじゃないか。しかし電圧の表示は高めのままだ。

成蹊大学が前にいる。速度差はそんなに無いようだ。
1周様子を見る。次の周で行くか!
1コーナー 2コーナー まだだ
3コーナー インに飛び込む。
速度差はそんなにない。
2つめのヘアピンで相手側にインを少し空ける。

「…」 何か音がした。
バックミラーを見る。

「いない…?」

イン側を空けていたから接触ではなかった。
後で分かったことだがパンクだったようだ。
もう少しバトルを楽しみたかったというのが本当のところだが、エネルギーを使わないという意味からは結果オーライだ。

「・・・」

前にいつもなら後ろから来るクルマがいる…
ミツバのUSO800だ。
また様子見に後ろに付く。
こちらのほうが速いセクションとあちらのほうが速いセクションがあるようだ。

それを利用してまずは2コーナーでインを突く!
しかしAコーナーと呼ばれるヘアピンで抜き返される。
双方イン側を一車身あけて走るクリーンなバトルだ。
これで熱くなるなというほうが無理というもの。
バックストレートで離される。
バックマーカーが間に入る。

「だめか…」

そう思ったがストレートエンドでまた追いつく。
ホームストレートでバックマーカー2台を抜きながらの攻防。
下りきった後ではこちらのほうが速いが抜くにはいたらない。
少しブレーキをかけてコーナーに侵入する。

この競技ではブレーキは無駄でしかない。
しかし…

走っている間は携帯のハンズフリーで通信できなくも無いが基本的には受けるだけ。
連絡を待っている暇などない!
ここは勝負だ!

ブーストON!

バックストレートで一気に抜き去る。
一周、予選とまでは行かないがアタックし、離しにかかる。
一周した後はブーストをオフ。
バックミラーを見るがどうやら差はある程度ついたようだ。
これが結果的に成功だったようでその後はバトルになるような相手はしばらく現れず、つまりエネルギーをあまり使わない走りができ、バックマーカーの処理が続いた。

しばらく走ったが、いまだに電圧の表示は高いままだ。
時間は残り少ない。
連絡が入る。ブーストを使用してのラストスパートだ。

コースに慣れてきたこともあり、全開率が更に上がる。

バックストレートで止まる車も出てきている中、バックマーカーを処理しながらコース上でトップに近いタイムで激しく追い上げる。

2,3周スパートしたが、もう一度連絡が入り、いったんブーストを切る。
どうやら全開率を上げたことがまずかったようだ。

レースはもう完全に終盤。
バックストレートでは自分の順位とラップタイムが電光掲示板で確認できる。

4位

残り5分。

連絡が入り、本当に最後のスパート。
ブーストON。

時間的には後3週走れるかどうかだ。
1周。
2周。
上りに力がない。
3周。
ホームストレートに戻ってきたとき見たものは…

チェッカーフラッグが振られている…

スパートの3周目(59周目)は幻に終わった。

結局、アイシンAWのつばさ52号が優勝を飾り、我々はそのポテンシャルの片鱗を見せながら4位に終わった。

実は電圧の表示はおかしく、実際よりも高い電圧を示していたようだ。
まあそのおかげで強気に走れたわけだが…
走り終えた後、バッテリーをほとんど使い果たしていた。
つまり2時間走りきる前に止まるかもしれなかったワケだ。
今回はある意味これが勝負の鍵だったのかもしれない。

それ以外にも今回はサーキットでの大会ということもあり、マシンとドライバーの総合力で勝負できたと思っている。
そんな実力を運が幸いして4位という好成績を収められたことを誇りに思う。

これで2004年シーズンは終了。
そろそろ新車の製作が本格的に始まる。

来シーズンはMeisterにとって激変の年になるかもしれない。

少しづつだが表彰台の頂点が見えてきているのは確かだ。

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