タイ科学技術週間 Meister 的総括
タイ科学技術週間いきさつ
2003年9月頃
当時の代表の仲さんから、
「来年の10月に機体をタイで展示してほしいって話が来てるんだけど。」
と言われました。
突然のことだったので、何のことだかわからなかったのですが、
「とりあえずこの先生に聞いて。」
と名刺を渡されたので、メールをしてみることに。
その名刺には「学術交際情報センター 新山先生」と書いてありました。
このとき、僕はタイで展示することがどれだけ大きなイベントで、Meister、あるいは東工大に対してどれだけ重要な意味を持っているかをまったく考えてもいませんでした。
日にちは飛んで2004年4月。
機体も完成し、余裕ができたので、新山先生と連絡を取り始めました。
この時点ではわかっていることは何もなく、「10月頃にタイで展示をする」ということだけでした。
そこで、もっと詳しい情報をメールで聞いて集めるとともに、条件の交渉に入りました。
具体的には、
- 期間が長いので、1週間×2のシフト制にしてほしい。
- 授業の出席を考慮してくれること。
などです。
7月。
いろいろと情報が集まり、だいたいの概要はつかめてきました。
- 期間は10月15〜24日。
- 場所はタイの首都バンコクの近く。
- 内容は機体とパネルの展示。
- 行く人数は4人程度。
ということです。
しかし、タイ側からの質問を読むと、
- タイで機体を飛ばすことは可能か?
- タイで機体の模型を作るのは可能か?
など、Meisterから考えるとありえないような内容ばかりでした。
あまりにお互いの考えに差があったので、共通の認識を得るため、テレビ会議をすることになりました。
そして7月13日。
テレビ会議が行われました。
海外とのテレビ会議なんて初めてだったので、一流の国際的な会社の一員になった気分でした。
MeisterOBのソーラーカーチームも行くことになっていたので、現役とOBあわせて6名でテレビ会議に臨みました。
内容はもちろんタイでの展示について。
そこでわかったのは、
- 展示スペースが25mしかないので、片翼での展示になる。
- 運ぶ方法は空輸か海輸。期間的にきついので空輸の方を希望。
- 輸送の際に梱包するので機体の大きさを教えて欲しい。
- 税関を通るため、材料費がいくらかかっているか教えて欲しい。
- CFRPがPAN系だと輸出禁止なので確認すること。
ということでした。
また、直接見ないとわからないということで、タイの人が一週間後に見学に来ることになりました。
7月20日
タイの人が見学に来ました。
基本的にこちらから説明するだけで、質問することはありませんでした。
8月
8月は頭に鳥人間コンテストがあり、しばらく実家に帰っていたのであまり進展せず。
8月後半からは鳥コンで壊れた機体を修復していました。
9月末に完成する予定で進めていました。
いつも作業をしているS2が工事で使えなかったので、S6の空いてる部屋を大学から貸してもらいました。
国際開発工学専攻長の太田秀樹教授に協力して頂きました。
ありがとうございました。
9月前半
その後、9月前半に少々変更がありました。
15日から展示するために、13日に飛行機に乗り、14日に展示の準備をする。
シフト制でもいいが、引き継ぎのために1日必要。
また片づけに1日必要とのことでした。
これにより、日程が
- 前半組:13〜20日
- 後半組:18〜24日
と決まりました。
あと、組み立てと解体を現地のスタッフに手伝ってもらうことになりました。
それにより、英語での指示出しが必要になります。
また、片翼と言っていたのが、全翼での展示になりました。
9月16日。
まだタイに行くメンバーが決まっていなかったので、緊急にミーティングをして決めました。
その結果、
前半組:神谷友裕、小林中、柴田裕樹
後半組:有馬直也、青山泰
と決まりました。
ずっと交渉を進めて来た僕と篠田の2人は、代表と設計という立場にあり忙しかったので、(行くつもりだったのですが、)補欠になりました。
9月24日
いろいろと決めなければいけないことがたまっていたので、第二回テレビ会議が行われました。
今回はタイに行くメンバーも含めて、Meisterから12人参加しました。
ここで聞かれたことは、
- どうやって機体を吊すのか。(タイ側の飛行船を下に展示するので10m上空に展示して欲しい。)
- 機体はいつまでに完成するのか。(10月8日までに出荷しなくては間に合わない。)
です。
あと、日程の詳細がわかりました。
- 15〜17日は学生のための公開で、一般客は来ない。
- 18日は開会式の準備のため休み。
- 19日が開会式で、国王が来るため、スーツで。
- 19〜23日は一般公開。
- 公開はだいたい10時から5時。
ということです。
9月29日
輸送業者が見に来ました。
ラックの大きさを測っていきました。
9月30日
グラウンドセットアップ。
タイに行く前に、タイに行くメンバーだけで組み立てと解体をしました。
- 持って行く物で足りない物はないか。
- 英語での指示出しはできるか。
- タイ行きメンバーだけで可能か。
を試しました。
グラウンドでやる予定でしたが、始めた途端に雨が降ってきたので、S6の作業場でやることになりました。
ガムテープなど足りないものをボックスにプラスして、無事、組み立てと解体ができ、可能であると確信しました。
10月1〜7日
修復のため、S6で残りの片翼を作りました。
10月8日
運送会社の4tトラックに機体を積み込みました。
頑張って作った機体がタイに行くのかと思うと感無量ってやつです。
10月13〜24日
タイへ。
ここはタイに行ったメンバーの報告をごらんください。
10月23日
タイに行ったメンバー後半組の有馬から連絡があり、「機体をタイにあげることにしたい」という内容のメールでした。
理由は
- 機体はもう使わない。(日本に持って帰っても結局、後で壊してしまう。)
- 日本に戻すのにお金がかかる。(今まで結構お金を使ってもらっている。)
ということでした。
そこで、僕は一瞬いろいろと悩んだのですが、別に問題ないだろうということと、すぐに返事をしないと意味がないと思ったので、Meisterのみんなには事後承諾とすることにして、独断でOKを出しました。
タイの人たちが有効利用してくれることを期待します。
10月25日
ミーティングをしました。
使わせてもらったS6を掃除して返却しました。
みんなにタイに機体をあげたことを報告しました。
タイに行った人から土産話を聞きました。(やっぱり行けば良かった…)
以上でタイに関する一連の流れは終わりです。
これを機にタイとの交流がより深まることを期待します。
また、この場所を借りて今回のタイ行きでお世話になった人にお礼をいいたいと思います。
- 東工大
-
- Meister顧問 井上先生
- 学術国際情報センター 新山先生
- タイ
-
- MTEC 行宗さん
- MTEC Dr.Paritud
- MTEC Dr.Perakit
- 東工大タイ支部 Dr.Dumrongkiat
- その他運送会社の人など
本当にお世話になりました。ありがとうございました。
(文責:Meister人力部門代表 堀江 啓)
機体の寄贈に関して
人力飛行機部門プロペラ班の有馬です。
今回タイでの機体展示終了後の機体(ハルシオン)はそのままタイに残し、カセサート大学という所に寄贈すると言うことになりました。
ここでこれに至るまでの経緯をお話しようと思います。
まずカセサート大学では、人力飛行機を本気で作りたいと思っているらしいのです。
今年の夏休みにはカセサート大学の教授が東工大にMeisterを見るためだけに来ていました。
また展示を見に来た学生たちはみんなとても熱心に細かいことまで聞いてきました。
さらに今回タイに行ったメンバーは現地関係者の方に手厚い歓迎受け、僕らに大変よく接していただきました。
またタイの物価は日本と比べれば大変安く、僕の受けた感じでは日本の1/3くらいでした。
そんな中今回の機体展示には莫大の輸送費及び諸経費をかけていただきました。おそらく向こうの方が当初予想していた額を大幅に超えていたと思われます。
そこで僕と一緒にタイに行った青山君、井上先生とで何気なく話していたところ、機体を置いていっても良いのではないかという話になりました。
そうすればカセサート大学には今後するであろう機体製作のとてもよい参考になり、日本に持ち帰ってももうほとんど使わず最終的には処分してしまう機体を有効に利用してもらえる、
その上帰りの輸送費も削減できると考えたからです。
そんなことから事は始まり、受けて側のカセサート大学に連絡をとったところ、ぜひもらいたいとの返事が返ってきて話は進んでいきました。。
しかし僕らが直接連絡をしたわけではないので、正直なところ今回タイでは細かい話はないもできませんでした。その点は今後連絡を取り、情報を交換して行こうと思います。
またなにぶん連絡手段も、時間もあまりなかっため日本に残っているメンバ−には現代表の堀江君に軽くメールで確認を取る程度しかできずに機体を置いていくことを決めてしまいました。
本来もっと広く現役、先輩ともに意見を聞くべきでしたが、今回はその場で決めざろう得なかったという点はご理解下さい。
僕個人の考えとしては、今回の機体の寄贈というのはMeisterにとって交流の場を世界に広げるという大変有意義なことだと思います。
文責 有馬