人力飛行機部門 設計主任
設計主任紹介
名前 | |
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篠田 崇 |
設計挨拶
MEISTERは2001年度に3km、2002年度に6km飛び連続優勝を果たしました。そして、3連覇の期待がかかる2003年度にちょうど私がMEISTERに入りました。それまで鳥人間コンテストは何度かテレビで見たことはありましたが飛ぶのがいっぱいいっぱいといった感じですぐに落ちてしまうというイメージしかありませんでした。そのため当時の大会記録である23km(北の対岸に到着)は冗談で越えてみせると言ったとしても到底越えられるような記録だとは思っていませんでした。それなのに大会で東北大さんにあっさりと記録を塗り替えられて衝撃を受けました。そして今年はどう考えても勝てないと思いました。それが数時間後に日大さんが西側の対岸に到着して35kmという記録を打ち出しMEISTERもそれを追って32kmという記録を残しました。10km以上の大記録が続出して人力飛行機の新しい時代が来たのだと感じました。もはや飛ぶことは当たり前でそこからどれだけ飛べるかが勝負なんだと。
そして2004年度はさらに軽量化され剛性のあがった機体で大会に臨みました。2003年度と大きく違うのはコクピットが前後方向に伸ばされパイロットが大きく寝た形になったことで空気抵抗を減らす工夫がされたこと。そして翼の後縁のとがった部分を補強する後縁材がバルサ材からカーボンシートになったことです。とくにカーボン後縁は湿気を吸っても膨張せずこれまで問題となっていた後縁のうねりが解決されかつ重量増がほとんどなく大きな成果をあげました。他にも細かな変更が加えられました。結局大会は台風の強風と駆動系のトラブルで残念な結果に終わりました。しかし、機体の性能は十分記録を狙えるものであったと思います。
そして今年自分で設計をさせてもらうことになりました。基本的には去年までと同じような設定で行けばそれなりの記録はでるはずです。しかし、一つ挑戦してみたいものがありました。それはこれまでのチェーンによる動力の伝達方式をドライブに変えることでした。それは今までのチェーン方式では足の回転軸とプロペラの回転軸をチェーンで結ぶ物でした。しかし、二つの軸はお互いに90度ずれていて距離もかなり離れていました。その軸どうしをねじったチェーンで結んでいました。このため歯飛びというチェーンが一段掛け違うという現象やチェーンが外れるということがたびたびありました。これを解決するためにチェーンにある程度テンションを掛けるのですがそうすると漕ぐのが重くなりパワーロスにつながります。とくに2003年度のように大会でのチェーンのはずれは致命的です。そのためドライブシャフト方式への変更を考えました。ただドライブシャフトにも欠点がないわけではありません。それは重量が重くなることとコクピットの着地による変形などでギアボックスが破壊される可能性があること。また高価であり製作も精度を必要とし容易にはできないことです。特に製作精度が悪いと駆動効率が落ちるし重量も重くなってしまいいいことなしになる可能性もあります。しかしMEISTERのモットーである「Challange&Creation」のもとなにごともやってみなけらば分からないということで皆の協力の下やってみることになりました。無謀かもしれませんが挑戦することを許してもらえて本当に感謝してます。来年の機体はこのドライブシャフトをつけてさらなる軽量化をし操縦性を向上させMEISTERがいまだかつて到達したことのない場所、対岸(大橋)を目指します。
ドライブシャフト方式 | ねじりチェーン方式 | |
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メリット |
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デメリット |
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